「境界ブロック」について考える
住宅街をちょっと気にして歩くと気づくと思いますが、住宅の敷地境界線にはブロック塀が建っています。
この「ブロック塀」は、第二次世界大戦後に普及したそうで、その根底には「自分の敷地を明白にする」という発想があったそうです。
昔は測量精度も怪しく、いわゆる「縄延び、縄縮み」と称する公簿と実測の土地面積相違が発生し、その上、境界杭も抜けてしまっているというケースは今でもしばしばみられます。
結果として自分の敷地を明白にし、侵入者を防ぐ防犯対策として、通常、境界線の中央に積み上げるのが「ブロック塀」なのです。
この「ブロック塀」ひとつとっても、隣地との一定の距離感、ライバル心、プライバシーなどさまざまな感情と日本人の生活観を見て取ることができると言えますよね。
※ ちなみに、このブロック塀(組構造)、建築基準法で「高さ制限」があり、基礎や土質、控え
壁のあるなしなどの様々な制約があるのをご存じでしょうか?
建築では高さ1.2メートルが規定です。ブロック一つの高さは大体20センチですから6段積みが
一杯いっぱいになります。
隣地との境界線にこだわり、一定の高さにこだわり、その安価な施工費に引きずられ、住宅の隣地同士のスペースをさらに2分割するだけの「ブロック塀」。
境界の区切りとして施工することがデザイン的にも思想的にも必要ならば、簡素な鉄フェンス、木製フェンス、生垣、もっと他にも方法があるかと思います。
私たちならば、そんなデザイン的なところも設計に織り込んでいきたいです。
今、敷地境界線は、「法律的・物理的」にも管理できる時代です。
もしも、家や土地の境界線がとてもゆったりしていて、塀ではなく樹木や芝生などで区切られていたなら・・・・。
そういう時代は、日本にやってくるのはまだまだ先なのでしょうか。